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マイコプラズマ感染の患者さん?

[2018.11.28]

仕事柄,公的な感染症情報は定期的にチェックしています。

2年まえのかぜシーズン。
咳が長引いているかたにマイコプラズマ(※)迅速診断テストをやってみると,
陽性の,つまりマイコプラズマに感染している患者さんがかなり多く見られました。

ところが情報センターにはマイコプラズマの感染が増加しているという情報はなし。

千城台周辺の局地的な現象か,
当院で採用している検査キットの問題か,
とても不思議に思っていました。

キットに関しては偽陽性が高くなっている傾向があるか,
キットメーカーにも確認しましたがそうしたことはないとの回答。

またマイコプラズマは呼吸器,つまり肺や気管支の感染が有名ですが,
他臓器にも感染することがあります。

そこで,原因がよくわからない腹痛,それもけっこう痛そう,のかたもチェックしてみたところ,
呼吸器感染ははっきりしないものの検査で感染が確認されました。

 

これらの陽性患者さんで症状がひどいかたには,
マイコプラズマに効果があるマクロライド系やテトラサイクリン系の抗生物質を投与するわけですが,
たしかに症状は比較的速やかに消失し,
「やっぱりマイコ(業界ではマイコプラズマのことをマイコと言いならわします)だったんだなぁ」
とスタッフと顔を見合わせたシーズンでした。

 

その後キットでの陽性率もさがり,
説明のつかない呼吸器外感染のかたも減り,
昨年は平年と同様にわずかに感染者が確認できただけでした。

 

ところが今年の風邪症状の患者さん。
長引く咳を有するかたにマイコプラズマチェックをしてみると,
1昨年ほどではないにしろ,感染が確認できる頻度が少々増加している印象があります。

 

これから冬のシーズンにむけてインフルエンザをはじめ,
風邪症状のかたが増えていくでしょう。

頑固な長引く咳のかたも増加するはずです。

「普通の風邪じゃなさそうだな……,
そう判断したかたではマイコプラズマ感染を疑って,
今年は検査をおこなう頻度を増やさないといけないようです。

 

※マイコプラズマとは
正式名称はマイコプラズマ・ニューモニエ“Mycoplasma pneumoniae”。

一般の細菌,バイ菌,よりは小さく,
ウイルス(インフルエンザなんかはウイルスが原因)より大きい病原体。
肺炎や気管支炎をおこします。
もちろん人から人へうつります。
潜伏期間は2,3週間。
発熱,頭痛にはじまり強い咳が見られます。
発熱が治まっても咳が長引くことが多く,喘息発作などもおこします。
上述のように消化器症状(おなかの症状)が見られることもあります。
自然に治癒もしますが,適切な抗生物質治療で治療することができ,
肺炎をおこしてもあまり重症化することはありません。
ですからいたずらに心配する必要はありません。

 

 

 

 

 

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